東京物語
- 作者
- 小津安二郎
- 発表
- 1953年
- 国
- 日本
- 媒体
- 映画
尾道から上京した老夫婦が、それぞれの生活に忙しい子どもたちに疎まれ、戦死した次男の妻だけが心を尽くすさまを静かに描く映画。家族の解体を誇張なく見つめ、国際的な映画人の投票で史上最高位にも選ばれた。
1953年公開。悪人を一人も置かず、それぞれに事情のある善意の人々の間で親子が静かに遠ざかっていく過程を描き、家族の物語から劇的な対立という支えを取り払った。低い位置に据えたカメラと正面からの切り返しという様式は「小津調」と呼ばれ、世界の映画作家に影響を与え続けている。血縁より義理の関係の中にいちばん深い情が宿るという逆説は、家族とは何かを問う後代の物語の先駆けでもある。
この作品が使っている物語の型
- 親と子(成人した)子育てを終えた後の親子関係を描く関係性。保護する側とされる側という力関係が対等に近づいていく過程で、互いの呼び方や距離の取り方が変化していく。
- 老いと成熟時間の経過によって身体や立場が変化していく人物を通して、若さの喪失を悲劇としてではなく、別の強さの獲得として描くテーマ。
- 見知らぬ親切利害のない赤の他人から差し出された、名も告げない小さな親切が人物の人生に長く残り続ける様を描くテーマ。返しようのない恩をどう受け止めるかが核になる。