東海道中膝栗毛
- 作者
- 十返舎一九
- 発表
- 1802–1814年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
江戸の弥次郎兵衛と喜多八が東海道を上方へ旅し、行く先々で失敗と悪ふざけを重ねる滑稽本。1802年から続編を重ねて大当たりし、「弥次喜多」の名を旅する二人組の代名詞にした江戸戯作の代表作。
1802年に初編が出て評判を呼び、正編は1809年まで、発端を含めると1814年まで書き継がれた(さらに続編が1822年まで続く)。宿場ごとの名物・方言・風俗を舞台装置に、当てが外れて恥をかく二人の掛け合いを繰り返す一話完結的な構成を持ち、読者は旅程に沿って笑いながら東海道を疑似体験できる。深刻な筋も成長もないまま道中だけで読ませる作りは、ロードコメディの原型というべきもので、旅そのものを娯楽として描く日本の物語の系譜の出発点になった。
この作品が使っている物語の型
- 地図目的地や隠された場所へ向かう道筋を示すモチーフ。地図の不完全さや古さが、旅の困難と手がかりの解釈という二重の面白さを生む。
- 見知らぬ親切利害のない赤の他人から差し出された、名も告げない小さな親切が人物の人生に長く残り続ける様を描くテーマ。返しようのない恩をどう受け止めるかが核になる。