そして誰もいなくなった
And Then There Were None
- 作者
- アガサ・クリスティ
- 発表
- 1939年
- 国
- イギリス
- 媒体
- 小説
孤島の邸宅に招かれた互いに面識のない10人が、童謡の歌詞をなぞって一人ずつ殺されていく長編。探偵不在のまま全員がいなくなる不可能状況を成立させ、ミステリ史上最も有名な作品の一つとなった。
1939年に刊行された。招かれた10人全員が、法では裁けなかった罪を抱えているという設定により、連続殺人そのものが私的な裁判として進行する構図を作った。探偵役を置かず、容疑者だけで構成された閉鎖空間が縮小していく緊張は、クローズドサークルものの完成形とされる。童謡の見立て、絶海の孤島、全滅の結末という本作の意匠は、後のミステリ・デスゲームものが繰り返し立ち返る原点になっている。
この作品が使っている物語の型
- 離島本土からの物理的な距離が、そこにいる人々の生活と関係を濃密にする舞台。船の便数という制約が出入りの自由を制限し、閉じた共同体の説得力になる。
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。
- ざまぁ不当な扱いをした側が、その行いに見合った報いを受ける展開型。溜飲を下げる快さが要だが、報いを受ける側を単なる愚か者に描くと爽快さが安くなり、報いの後に何も残らない構成にすると物語が終わってしまう。