十二人の怒れる男
12 Angry Men
- 作者
- シドニー・ルメット
- 発表
- 1957年
- 国
- アメリカ
- 媒体
- 映画
父親殺しの罪に問われた少年の陪審評議で、有罪確実の空気の中ただ一人の陪審員が疑問を唱え、12人の議論が逆転していく法廷劇。ほぼ一室のみで展開する会話劇の金字塔にしてルメットの長編第一作。
1957年に公開された。評決の全員一致が崩れていく過程を、証拠の再検討と12人それぞれの偏見の露呈として描き、合理的な疑いという司法の原則を一本の映画で体感させる設計になっている。密室と実時間に近い進行、人物の名がほぼ明かされない匿名性は、これが特定の事件ではなく制度と人間一般の物語であることを示す。会議室一つで社会全体を描けることを証明した本作は、会話劇・法廷ものの原点として参照され続けている。
この作品が使っている物語の型
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。
- 正義の代償正しいことをした結果、当人が何かを失っていくというテーマ。正義を貫くこと自体は否定せず、その正しさが誰かを傷つける構造を丁寧に描くと安易な勧善懲悪から抜け出せる。