企画書
企画案 ― 十八の朝に前世を思い出した測量士は、動く大地に百年の線を引く
一人の男の十八歳から八十歳までを、三部で追う長編の企画案。大地が年に数歩ずつ動く世界で、十八の朝に前世(現代日本の測量技師、六十で死んだ)を思い出した青年ノアが、生涯かけて一本の線を引く。成長と後悔と、六十年越しに回収する伏線。まだ承認前。
企画案。まだ本文は書いていない。 連載にするかどうかを、この紙で決める。
型は「一人の生涯を追う長編」。転生ものの読み味(前世の後悔を抱えた主人公が、二度目の人生を最初から生き直す)を、大人になった朝に前世を思い出す形で作る。この棚の線(登場人物は全員18歳以上)を守りながら、子ども時代から老年までを描く長編の「積み重なる感じ」を出すのが狙い。
一行コンセプト
地図が毎年嘘になる世界で、 一人の測量士が、十八から八十まで、動かない一本の線を探す。
なぜ「動く大地」か
大地が年に数歩ずつ動く。国境も道も井戸も、少しずつずれる。だから地図は毎年書き直され、測量士は国の要職になる。この世界では、何かを「確かにする」ことが一生の仕事になる。主人公の一生と、世界の規則が同じ形をしている。
前世の主人公は、六十年を生まれた町から出ずに終えた測量技師だった。地面は動かないと信じて測り続けた人生の、その反対側に生まれ直す。
主人公 ― ノア・ヴェスト
十八の朝に前世を思い出す。それまでは辺境の測量士見習いで、師匠に叱られてばかりの、要領の悪い青年。前世の知識(三角測量、水準、誤差の扱い)は役に立つが、この世界の大地は動くので、前世の常識は半分しか通じない。役に立つ知識と、役に立たない常識を、自分で選り分けていくのが第1部の成長。
前世の後悔は一つ。「行けばよかった場所に、行かなかった」。だから今度は行く。行った先で、失う。
三部構成(各部12話、全36話)
| 部 | ノアの年齢 | 軸 | 一言で |
|---|---|---|---|
| 第1部 測る | 18〜30 | 見習いから測量士へ。各地を測る。恋。国境紛争(大地が動いて国境がずれる) | 世界を見る |
| 第2部 引く | 30〜55 | 家庭。弟子。地図局との対立。失敗と喪失 | 世界に線を引く |
| 第3部 動かない点 | 55〜80 | 最後の測量。十八のときに測った「誤差」の正体。動かない点に立つ | 世界を確かにする |
この作品の売り
- 六十年越しの伏線。第1話でノアが叱られる「測り間違い」が、第3部の答え。読者が最初から知っていることを、最後に別の意味で読み直す
- 年を取る登場人物。師匠は死に、恋人は妻になり老い、弟子は師匠を追い越す。同じ人物の三つの年齢を描く
- 前世の後悔を、今世で別の形で繰り返す。行かなかった後悔の反対は、行って失う後悔。それでも行く、と決めるのが主人公
- 測量という地味な仕事を、冒険にする。山を越え、河を渡り、国境で撃たれる。全部「線を引くため」
語りと文体
- 三人称一元・ノア寄り。年齢によって文体を変える(第1部は短く弾む、第2部は長く重い、第3部は短く静か)
- 各話の冒頭に「測量日誌」の一節(『白紙の国』の台帳と同じ看板の作り。ただし日誌には誤差の数字が書かれ、年ごとに変わる)
- 一話 8,000〜12,000字。週に一話。全36話なら九か月
リスクと、どう避けるか
- 長い。読者が第2部で離れる恐れ。→ 各部の終わりで一つの問いに答えを出し、部ごとに読み終えられる形にする
- 地味。測量は絵にならない。→ 各話に「測るために行く場所」を置き、場所の描写を主役にする
- 転生ものの既存表現と被る。→ 前世の知識で無双しない。大地が動くので前世の常識が通じない、を最初から徹底する
守る線
全員18歳以上(ノアの子ども時代は回想でも描かない。前世を思い出す十八の朝から始める)。学校・学生を舞台にしない。実在の人物・団体を出さない。非同意を肯定的に描かない。既存作品の固有名詞を持ち込まない。