伏線表
伏線表 ― 三つの環の紋から、王の皿まで
どの話で仕込み、どの話で回収するかの台帳。第1話で置いた十四本(三つの環の紋、銅貨八枚を届けた男、杏の種の味、試膳官は二人だけ、月に一度の夜の荷馬車、軍用粉、じゃりじゃりの黒パン…)を第1巻と第2巻に振り分けてある。追放の真相も書いてある。
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追放の真相(読者には第8話で半分、第12話で全部)
宰相ヴォルフ派は王宮の食料調達を握り、軍用粉に白土を混ぜて差額を懐に入れている。三年前から。辺境の製粉所は、その粉を作る末端。リゼが毒を見抜いた鶉の煮込みは、王を殺すためではなく、試膳官を排除するために盛られた。舌の利く者が王宮の台所にいると、粉の不正がいずれ露見するから。毒を見抜けば「盛った」として追放できるし、見抜けなければ王が倒れて調達の権限が宰相府に集まる。どちらでもよかった。もう一人の試膳官は、同じ手口で半年前に王宮を去っている(第8話)。
第1話で置いたもの
| No | 伏線 | 置いた話 | 回収する話 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 襟の三つの環の紋(宰相府) | 1 | 7(視察の役人の襟に同じ紋。リゼは名を伏せる)→ 10(宴で毒を盛る男の袖口にも) | 仕込み済み |
| 2 | 銅貨八枚を届けた下働きの若い男 | 1 | 8(王の指図だった。王はリゼを信じていたが宰相府に逆らえなかった)→ 12(召喚状を持ってくるのが同じ男) | 仕込み済み |
| 3 | 鶉の煮込みの、苦い杏の種のような一筋の味 | 1 | 10(領主の宴で同じ味。同じ毒、同じ手) | 仕込み済み |
| 4 | 王宮の試膳官は二人だけ | 1 | 8(もう一人は半年前に同じ手口で追われ、今は王都の場末で食堂をしている。第2巻で再会) | 仕込み済み |
| 5 | 白土は月に一度、夜に荷馬車で、麦と同じ袋で来る | 1 | 2(証拠。荷馬車の来る夜にダンが張る)→ 9(同じ荷馬車が上流の鉱山へも通っている) | 仕込み済み |
| 6 | 粉は王都へ納める軍用粉と街の粉に分かれた | 1 | 9(軍用粉の混ぜ物は辺境全域。軍の兵糧が痩せている)→ 12(召喚の理由。軍が粉を疑い始めた) | 仕込み済み |
| 7 | 「土は粉より重い。重さで分けられるかもしれない。まだ分からない」 | 1 | 2(箕と水で分けてみる。分けられるが手間がかかる。だから混ぜた側は「分からない」と踏んでいた) | 仕込み済み |
| 8 | 街道の茶屋の黒パンもじゃりじゃりしていた | 1 | 9(混ぜ物は街だけではない。街道沿いの茶屋の粉も東の製粉所) | 仕込み済み |
| 9 | ダンは夜も見回る | 1 | 8(何を見張っているか。三年前、ダンの隊の兵が痩せた兵糧で倒れた。以来、荷馬車を見ている) | 仕込み済み |
| 10 | マーサ「王宮の人間だね」(骨の煮方で見抜いた) | 1 | 11(マーサはかつて領主の館の台所にいた。だから見抜けた。領主との橋渡し) | 仕込み済み |
| 11 | 「食べてから言って」 | 1 | 12(召喚状を持ってきた男に、同じ言葉。第2巻で王に言う) | 仕込み済み |
| 12 | 十枚を鶏代として預けた | 1 | 5(卵。鶏が屋台の裏で鳴いている) | 仕込み済み |
| 13 | パン屋の息子(粉だらけの前掛け) | 1 | 5(屋台を真似する店の主。リゼは怒らず教える) | 仕込み済み |
| 14 | ハンス「袋の数だけ合えばいいと言われた」 | 1 | 2(帳面は袋の数しか見ていない。中身を量れば証拠になる) | 仕込み済み |
第2話以降で置くもの(予定)
| No | 伏線 | 置く話 | 回収する話 |
|---|---|---|---|
| 15 | ピートが王都で聞いた「舌の利く女を探している」噂 | 3 | 7(視察の目的はリゼ) |
| 16 | 塩商の偽塩に混ざる苦味 | 4 | 10(同じ苦味=同じ仕入れ元) |
| 17 | 熱病の薬草を見分けるリゼの舌を、ダンが「危ない」と言う | 6 | 8(舌が利くほど、狙われる) |
| 18 | 河の魚の味が変わった、とマーサが漏らす | 8 | 9(上流の鉱山の毒) |
| 19 | 領主の宴の招待状の封蝋の色 | 10 | 11(領主自身は宰相派ではない) |
長期の到達点(読者には見せない)
- 第2巻: 王都。もう一人の試膳官との再会。王の皿。宰相府の粉の不正が軍から露見する
- 第3巻: リゼは王宮に戻らない。辺境に「試膳の家」を作る。誰の舌でも嘘が分かる仕組み(皿の底に沈める見せ方)を街に残す
- 最終的な問い: 舌で分かる嘘と、分かっても言えない嘘