白い巨塔
- 作者
- 山崎豊子
- 発表
- 1963–1965年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
大学病院を舞台に、権力欲に燃える天才外科医財前五郎の教授選への野望と医療過誤裁判を描く長編。学閥・金権・保身が渦巻く医学界の構造を暴き、社会派小説の金字塔として繰り返し映像化されてきた。
1963年から1965年にかけて連載され、読者の反響を受けて裁判の行方を描く続編が1967年から1968年に書き継がれた。野心の人・財前と良心の人・里見という対照的な二人の医師を置き、個人の資質ではなく組織の構造が医療を歪めるさまを克明に描く。徹底した取材に基づく組織小説の方法はこの作者の代名詞となり、権力闘争と裁判を軸にした本作の構成は、職業ものドラマの原型として現在も参照される。
この作品が使っている物語の型
- 医師と患者治療という明確な目的のもとで結ばれる医師と患者の関係性。専門知識を持つ側と委ねる側という非対称な立場が、信頼関係の築き方に独特の緊張を生む。
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。
- ライバル同じ分野・同じ舞台で競い合う対等な関係性。敵ではなく、認め合っているからこそ負けたくないという感情が、独特の緊張と敬意を生む。