坂の上の雲
- 作者
- 司馬遼太郎
- 発表
- 1968–1972年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
松山出身の秋山好古・真之兄弟と俳人正岡子規を軸に、明治国家の青春として日露戦争までの時代を描く大長編。楽天的に坂を登った時代という明治観を提示し、日本人の歴史イメージに大きな影響を与えた。
1968年から1972年まで連載された。小さな国が近代国家として立ち上がる過程を、階級も専門も違う三人の青年の伝記として束ね、国家の物語を個人の成長物語の集合として語り直す方法を採る。余談を織り込みながら進む独特の語り口は司馬史観と呼ばれる歴史像を形づくり、その明るさへの評価と批判の双方を含めて、昭和以降の日本人が明治を想像する際の最大の参照点であり続けている。
この作品が使っている物語の型
- 成長と代償人物が何かを得るために別の何かを手放さざるを得ないという交換の構造を扱うテーマ。強く賢くなる過程で失われたものの重さを描けるかが鍵になる。
- 語られなかった歴史近しい相手にすら明かされなかった過去が、何かをきっかけに明らかになっていく主題。語らなかった理由そのものが人物像の核心に関わる。
- 兄弟姉妹生まれた時から比較され続ける、あるいは互いをよく知りすぎているという特有の距離感を持つ関係性。血のつながりゆえに断ち切れない結びつきが物語の軸になる。