魔の山
Der Zauberberg
- 作者
- トーマス・マン
- 発表
- 1924年
- 国
- ドイツ
- 媒体
- 小説
従兄の見舞いにアルプスの結核療養所を訪れた青年ハンス・カストルプが、そのまま7年を過ごし、思想の異なる住人たちとの対話の中で精神的成長を遂げる長編。時間と死を主題にした教養小説の到達点。
1924年に刊行された。下界から隔絶された療養所という舞台は、死が日常である代わりに時間の感覚が溶けていく実験室であり、そこに啓蒙主義者と反理性の論客を配して、第一次大戦前夜のヨーロッパ精神の縮図を作り上げた。物語の中の時間の経過と読書の時間の関係そのものを論じる語りなど、小説という形式の自己意識も高い。平地の戦場へ下りていく結末が、この長い精神の彷徨全体を歴史に接続する。
この作品が使っている物語の型
- 成長と代償人物が何かを得るために別の何かを手放さざるを得ないという交換の構造を扱うテーマ。強く賢くなる過程で失われたものの重さを描けるかが鍵になる。
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。