戦争と平和
Война и мир
- 作者
- レフ・トルストイ
- 発表
- 1865–1869年
- 国
- ロシア
- 媒体
- 小説
ナポレオン戦争期のロシアを舞台に、貴族の若者たちの恋愛と成長、そして戦場と社交界の双方を描く大長編。数百人の登場人物を配しながら個人の実感を手放さない筆致で、長編小説の到達点とされる。
1865年から1869年にかけて発表された。歴史を動かすのは英雄の意志ではなく無数の個人の行為の総和であるという歴史観を、物語の構造そのもので示そうとした点に特徴があり、戦闘の描写でも司令部の視点より一兵士や従軍する青年の視点を重んじる。社交界の華やぎと戦場の混乱を往復する構成は、日常と非日常の対比を描く物語の規範となった。人生の意味を問い続ける人物ピエールの遍歴は、成長譚の古典的な型でもある。
この作品が使っている物語の型
- 成長と代償人物が何かを得るために別の何かを手放さざるを得ないという交換の構造を扱うテーマ。強く賢くなる過程で失われたものの重さを描けるかが鍵になる。
- 三角関係一人を巡って二人が対立する、あるいは一人が二人の間で揺れるプロット型。誰が「悪者」にもならない設計にできるかが、物語の後味を決める。
- 日常が壊れる一日何の変哲もない一日の中に、それまでの日常を根底から変えてしまう出来事が紛れ込む主題。事件の大小よりも「その日から何かが違って見える」感覚を描く。