ピーターラビットのおはなし
The Tale of Peter Rabbit
- 作者
- ビアトリクス・ポター
- 発表
- 1902年
- 国
- イギリス
- 媒体
- その他
母の言いつけを破ってマグレガーさんの畑に忍び込んだ子うさぎピーターが、上着を失いながら命からがら逃げ帰る絵本。1901年の私家版を経て1902年に出版され、以後多くの続篇が描かれた。
動物の体つきや動きは博物画に近い正確さで描かれる一方、擬人化は上着と靴を着せる程度にとどめる設計になっており、四足で走る場面と二足で立つ場面が場面ごとに描き分けられる。服は個体を識別する記号としても、人間の領域に踏み込んだ証としても働き、上着を失うことが失敗の可視化になる。判型を子どもの手に収まる大きさに定め、頁ごとの絵と文の配分まで作者が指定した点も含めて、動物を主人公にした絵本の基本形として繰り返し参照されている。
この作品が使っている物語の型
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。
- 日常が壊れる一日何の変哲もない一日の中に、それまでの日常を根底から変えてしまう出来事が紛れ込む主題。事件の大小よりも「その日から何かが違って見える」感覚を描く。
- 擬人化道具や場所、暦といった人でないものに人の形と気性を与える型。元の物が持つ性質を人の振る舞いに翻訳できているかどうかで、成否が分かれる。