画図百鬼夜行
- 作者
- 鳥山石燕
- 発表
- 1776年
- 国
- 日本
- 媒体
- その他
伝承や語りの中にしか存在しなかった妖怪たちを、絵師鳥山石燕が一体ずつ絵に描き、名を添えて並べた妖怪画集。安永五年にあたる1776年に前篇の陰・陽・風の三巻が刊行され、後の妖怪図像の下敷きとなった。
一丁に一体ずつ、背景と姿勢を添えて妖怪を配置する体裁を取っており、名前と絵を一対一で対応させることで、地方ごとにばらばらだった怪異の呼び名を図像として固定していく設計になっている。姿の定まらない怪異に輪郭を与える作業は、後続の絵師や近代以降の妖怪創作が共通して参照できる辞書を用意することにつながった。続篇では石燕自身の創作と見られる妖怪も混ざっており、伝承の記録と新規の造形が同じ形式の中に並ぶ点も、図鑑的なキャラクター体系の出発点として注目される。
この作品が使っている物語の型
- 標本・コレクション一つひとつ丁寧に集められ、整理された標本やコレクションが、収集した人物の情熱や執着を無言のうちに物語るモチーフ。集める行為そのものに人生が滲む。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 語られなかった歴史近しい相手にすら明かされなかった過去が、何かをきっかけに明らかになっていく主題。語らなかった理由そのものが人物像の核心に関わる。
- 生き物の名づけ人ではないものに名を与える行為を扱うモチーフ。名づけた時点で責任が生まれ、どの名で呼ぶかがそのまま相手との距離を示す。
- 擬人化道具や場所、暦といった人でないものに人の形と気性を与える型。元の物が持つ性質を人の振る舞いに翻訳できているかどうかで、成否が分かれる。