雨月物語
- 作者
- 上田秋成
- 発表
- 1776年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
中国の白話小説や日本の古典を素材に、亡霊・執念・異類との遭遇を描く九編からなる怪異短編集。約束を守るため霊となって戻る友、待ち続けた妻の亡霊など、情念を格調高い雅文で描き怪異文学の頂点とされる。
1776年に刊行された。怪異を恐怖の対象としてだけでなく、義理や愛執といった人の情が極まった形として描く点に特徴があり、死してなお約束を果たしに来る霊、帰らぬ夫を待ち続けて世を去った妻など、亡霊たちはいずれも生者より一途である。典拠を持つ翻案でありながら日本の風土と文体に完全に溶かし込んでおり、後の怪談文学や幻想文学、さらには映画にまで影響を与えた古典となっている。
この作品が使っている物語の型
- 幽霊と生者すでに死んでいる者と、まだ生きている者との間で成立する、いずれ終わりが来ることが最初から決まっている関係性。別れの必然が、二人の時間の一つ一つに重みを与える。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 待つという行為何かが起こることを、あるいは誰かが戻ることをただ待ち続ける時間そのものを主題にするテーマ。待つ側の変化と、待たれる側の不在が対になって描かれる。