ノルウェイの森
- 作者
- 村上春樹
- 発表
- 1987年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
亡くなった親友の恋人・直子と、快活な同級生・緑のあいだで揺れる青年の1960年代末の日々を、喪失の感覚とともに回想する長編。国内で数百万部規模の売れ行きを記録し、著者の名を一般読者層まで広げた。
1987年刊行。死者への愛着と生者への欲求のあいだで動けなくなる主人公を、静かな一人称の語りで追う。喪失を治癒すべき異常ではなく、生の一部として抱え続けるものとして描く態度が特徴で、恋愛小説の形を借りた喪の物語として読まれてきた。世界数十か国語に翻訳され、日本の現代小説として最も広く読まれた作品の一つである。三角関係の型を「二人の恋人の選択」ではなく「死と生の選択」に重ねた点が独自といえる。
この作品が使っている物語の型
- 喪失と再生何かを失った人物が、その欠落を抱えたまま新しい生き方を見つけ直すまでを描くテーマ。喪失を「治す」のではなく「連れて歩けるようになる」過程に重心を置くと物語が浅くならない。
- 集団の中の孤独大勢に囲まれていながら誰にも本心を明かせない孤独を描くテーマ。物理的な独りではなく、心理的な隔たりに焦点を当てる。
- 三角関係一人を巡って二人が対立する、あるいは一人が二人の間で揺れるプロット型。誰が「悪者」にもならない設計にできるかが、物語の後味を決める。