斜陽
- 作者
- 太宰治
- 発表
- 1947年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
没落していく貴族の家の娘かず子が、母の死と弟の破滅を見届けながら、道徳に背いてでも生きる決意を固めていく長編。敗戦直後の没落と再生の物語として熱狂的に読まれ、「斜陽族」という流行語を生んだ。
1947年に発表された。最後の貴婦人である母、破滅へ向かう弟、革命を口にする作家という滅びの側の人物たちの中で、ただ一人かず子だけが恋と出産という形で生の側へ踏み出していく対照が物語の骨格をなす。日記や遺書を織り込んだ多声的な構成で崩壊を立体的に描き、旧世界の終わりを嘆きではなく新しい生の条件として引き受ける結末が、敗戦後の読者の心をつかんだ。没落の文学の代表作である。
この作品が使っている物語の型
- 喪失と再生何かを失った人物が、その欠落を抱えたまま新しい生き方を見つけ直すまでを描くテーマ。喪失を「治す」のではなく「連れて歩けるようになる」過程に重心を置くと物語が浅くならない。
- 過去を美化する苦しかったはずの過去や失われた関係を、時間の経過とともに美しい記憶として塗り替えてしまう心理を描くテーマ。記憶の不確かさを扱う。