金色夜叉
- 作者
- 尾崎紅葉
- 発表
- 1897–1902年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
許嫁の宮を富豪に奪われた貫一が、愛を捨てた世間への復讐として高利貸しになる長編。熱海の海岸の別離の場面はあまりに有名で、連載は作者の死により未完のまま国民的な人気を博した。
1897年から1902年にかけて断続的に連載され、作者の死去により未完に終わった。愛か金かという問いを真正面に掲げ、裏切られた側が愛を憎悪に反転させて身を持ち崩していく過程を描く。新聞連載小説として爆発的に読まれ、演劇・映画・歌謡曲へ広がって明治のメロドラマの代名詞となった。破談と復讐という型、忘れられない一夜の記憶という装置は、以後の大衆恋愛劇の基本形として定着している。
この作品が使っている物語の型
- 婚約破棄公の場で関係を断たれるところから始まり、断たれた側の再起を描くプロット型。破棄の理由が理不尽すぎると人物が動かなくなるため、断つ側にも成立する理屈を持たせておく必要がある。
- 復讐受けた害への報いを求めて動く人物を描くテーマ。復讐そのものより、それを遂げた後(あるいは遂げられなかった後)に残るものを描くかどうかで作品の深さが決まる。
- 身分違い立場・階級・世界の違う二者が惹かれ合うテーマ。障害が外側(周囲の反対)にあるか内側(本人の引け目)にあるかで、物語の温度が大きく変わる。