白鯨
Moby-Dick
- 作者
- ハーマン・メルヴィル
- 発表
- 1851年
- 国
- アメリカ
- 媒体
- 小説
片脚を奪った白い巨鯨への復讐に取り憑かれたエイハブ船長の捕鯨船に乗り込んだ青年イシュメールの目から、破滅へ向かう航海を描く長編。捕鯨の百科全書的な記述と悲劇を融合したアメリカ文学の金字塔。
1851年刊行。一頭の鯨への復讐という単純な筋の上に、捕鯨の技術・鯨の博物誌・神学的な省察を大量に積み上げる異形の構成を持ち、刊行当時は評価されず、20世紀に入ってから再発見された。人間の意志が自然という応答しない相手に向かって空転していく様を描いた点で、人と人ならざるものの対峙を扱う物語の極北とされる。狂気に船全体が巻き込まれていく過程は、閉鎖集団の物語としても読み継がれている。
この作品が使っている物語の型
- 復讐受けた害への報いを求めて動く人物を描くテーマ。復讐そのものより、それを遂げた後(あるいは遂げられなかった後)に残るものを描くかどうかで作品の深さが決まる。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。