点と線
- 作者
- 松本清張
- 発表
- 1957年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
九州の海岸で発見された男女の死体は心中とされたが、刑事たちは列車時刻表に潜む僅かな空白に不審を抱く。アリバイ崩しを軸に、犯罪の背後にある組織の腐敗を描いて社会派推理小説の流れを決定づけた長編。
1957年から翌年にかけて連載され、1958年に刊行された。トリックの中心に全国の列車時刻表という誰もが検証できる公共の資料を置いたことで、謎解きを名探偵の専有物から地道な捜査の積み重ねへ引き下ろした。犯罪の動機を個人の情念ではなく汚職の構造に求める姿勢は「社会派」と呼ばれる潮流を生み、以後の日本ミステリの主流を長く規定した。移動と時刻という近代的な素材を物語装置に変えた代表例である。
この作品が使っている物語の型
- 長距離列車目的地に着くまでの長い時間が、乗客同士に会話や関係の余地を生む舞台。車窓の移り変わる景色が、旅の心情の推移をそのまま映す。
- 二重生活表の顔と裏の顔、あるいは二つの場所・二つの名前を同時に生きる人物を描くテーマ。切り替えの瞬間そのものを見せ場にできるかが設計の鍵になる。