走れメロス
- 作者
- 太宰治
- 発表
- 1940年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
処刑までの猶予を得るため親友を人質に差し出した青年が、期限までに戻るべく走り続ける短編。信義をめぐる古代ギリシャ起源の伝承を下敷きに、疑う王と信じる友の対比を極限まで単純化して描く。
1940年に発表された短編。約束の期限に間に合うかという一点に物語を絞り込み、道中の障害と主人公の心の揺れだけで緊張を持続させる構成は、時間制限ものの教科書的な形になっている。一度は走ることを諦めかける場面を挟むことで、信義が生来の美徳ではなく選び直されるものとして描かれる点が重要で、人間不信の王が改心する結末までを短い紙幅で成立させている。
この作品が使っている物語の型
- 時間との闘い残された時間が限られている状況で、成すべきことを成そうとする人物を描くテーマ。時限の理由が具体的であるほど、一分一秒の重みが読者に伝わる。
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。