市民ケーン
Citizen Kane
- 作者
- オーソン・ウェルズ
- 発表
- 1941年
- 国
- アメリカ
- 媒体
- 映画
新聞王ケーンが遺した最期の言葉「バラのつぼみ」の意味を、記者が関係者の証言でたどる伝記映画。回想の多視点構成と深い焦点の撮影で映画の文法を革新し、史上最高の映画と評され続けてきた。
1941年に公開された。当時25歳のウェルズが製作・監督・主演を兼ね、時系列を解体した証言の積み重ねで一人の人間の全体像に迫る構成、画面の手前から奥までピントの合ったパンフォーカス撮影、天井を見せるセットなど、後の映画作りの共通語彙となる技法を一本に集約した。すべてを手に入れた男の空虚の核心が、幼い日に失った小さなものだったという結末は、成功の物語の裏面を描く型として決定的である。
この作品が使っている物語の型
- 過去を美化する苦しかったはずの過去や失われた関係を、時間の経過とともに美しい記憶として塗り替えてしまう心理を描くテーマ。記憶の不確かさを扱う。
- 語られなかった歴史近しい相手にすら明かされなかった過去が、何かをきっかけに明らかになっていく主題。語らなかった理由そのものが人物像の核心に関わる。
- 集団の中の孤独大勢に囲まれていながら誰にも本心を明かせない孤独を描くテーマ。物理的な独りではなく、心理的な隔たりに焦点を当てる。