注文の多い料理店
- 作者
- 宮沢賢治
- 発表
- 1924年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
山中で道に迷った二人の紳士が西洋料理店に入るが、扉ごとに増える「注文」に従ううち、客が料理される側だったと気づく短編童話。生前唯一の童話集の表題作で、文明への皮肉を怪奇とユーモアで包む。
1924年刊行の童話集の表題作。扉に書かれた指示が読者にも同じ速度で開示され、意味が反転する瞬間を読者が登場人物と同時に体験する仕掛けになっている。都会の論理で自然を消費しようとする者が、同じ論理で消費されかけるという反転は、猟を娯楽とする紳士たちへの批評として機能する。日常が一枚ずつ扉をくぐるごとに異界へ変わっていく構成は、境界越えの物語の簡潔な見本でもある。
この作品が使っている物語の型
- 日常が壊れる一日何の変哲もない一日の中に、それまでの日常を根底から変えてしまう出来事が紛れ込む主題。事件の大小よりも「その日から何かが違って見える」感覚を描く。
- ざまぁ不当な扱いをした側が、その行いに見合った報いを受ける展開型。溜飲を下げる快さが要だが、報いを受ける側を単なる愚か者に描くと爽快さが安くなり、報いの後に何も残らない構成にすると物語が終わってしまう。