沈黙
- 作者
- 遠藤周作
- 発表
- 1966年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
島原の乱後の弾圧下の日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴが、信徒の苦難を前に神の沈黙を問い、踏絵の前に立たされるまでを描く長編。棄教という主題を通じて信仰の本質に迫り、世界的に読まれている。
1966年に刊行された。殉教の栄光ではなく、弱さゆえに転ぶ者の側から信仰を描いた点が画期的で、踏むがいいと語りかける声を聞く場面は、裏切りの中にこそ現れる救いという逆説として文学史に刻まれている。強い信仰の物語を反転させ、弱者の同伴者としての神という独自の理解に到達する過程は、宗教を離れても、信じることと挫折を扱う物語の深い参照点であり続け、海外での翻訳・映画化も重ねられた。
この作品が使っている物語の型
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。
- 裏切り信頼していた相手に裏切られる、あるいは自分が裏切る側に回るテーマ。裏切りの動機に必然性を持たせられるかどうかが、物語の説得力を左右する。