夜明け前
- 作者
- 島崎藤村
- 発表
- 1929–1935年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
木曽馬籠宿の本陣当主・青山半蔵が、国学の理想を胸に明治維新を迎えながら、新時代に裏切られて狂死するまでを描く大長編。作者の父をモデルに、維新を民衆の側から問い直した歴史小説の金字塔。
1929年から1935年にかけて連載された。街道の宿場という定点から維新の激動を眺める構成により、歴史の転換が地方の生活者にとって何であったかを描き、勝者の物語としての維新像を相対化した。理想を信じた者が新体制に居場所を失っていく過程は、革命とその後を扱う物語の普遍的な型であり、木曽路はすべて山の中であるという書き出しとともに、日本の歴史小説の最高峰の一つに数えられる。
この作品が使っている物語の型
- 土地に縛られる生まれ育った土地や家業のしがらみから離れられない、あるいは離れることに罪悪感を覚える心理を描くテーマ。自由と根の間の葛藤を扱う。
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。
- 世代の継承技術・仕事・価値観・因縁が親から子へ、師から弟子へと渡っていく過程を描くテーマ。継承がそのまま受け継がれるか、形を変えて受け継がれるかが主題の分かれ目になる。