楢山節考
- 作者
- 深沢七郎
- 発表
- 1956年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
口減らしのため70歳になると楢山へ捨てられる習わしの村で、おりん婆さんが自ら進んで山行きの支度を整え、息子の背に負われて山へ向かう中編。棄老伝説を民謡を織り込んだ文体で描き、衝撃をもって迎えられた。
1956年に発表された。貧しさが生んだ非情な掟を、告発でも美化でもなく、掟を内面化して従容と死へ向かう老母の側から描いた点に衝撃があり、選考委員が激賞して文壇の外から現れた新人の出世作となった。山へ向かう道行きの静けさと、降り始める雪の描写は日本文学屈指の名場面とされる。共同体の存続と個人の生命という主題は、後の映画化二作を通じて国際的にも知られることになった。
この作品が使っている物語の型
- 老いと成熟時間の経過によって身体や立場が変化していく人物を通して、若さの喪失を悲劇としてではなく、別の強さの獲得として描くテーマ。
- 自己犠牲自分の利益や安全、時には命そのものを差し出して他者や大義を守ろうとする人物を描くテーマ。犠牲を美化しすぎず、遺された側の痛みまで描けるかが要になる。
- 土地に縛られる生まれ育った土地や家業のしがらみから離れられない、あるいは離れることに罪悪感を覚える心理を描くテーマ。自由と根の間の葛藤を扱う。