三四郎
- 作者
- 夏目漱石
- 発表
- 1908年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
熊本から上京した青年三四郎が、大学と東京という新しい世界、そして謎めいた女性美禰子に出会い、戸惑いながら大人になっていく長編。青春小説という形式を日本に定着させた前期三部作の第一作。
1908年に連載された。故郷の世界、学問の世界、恋愛の世界という三つの世界の間に立つ青年という構図を明示し、どこにも完全には属せない宙づりの時間として青春を定義した。美禰子の心が最後まで明かされず、主人公が「迷える羊」という言葉だけを手掛かりに取り残される結末は、わからなさそのものを恋愛の実質として描く方法であり、以後の青春小説・恋愛小説に長い影響を与えている。
この作品が使っている物語の型
- 都会と故郷出て行った土地と戻る土地の間で揺れる人物を描くテーマ。都会を成功、故郷を停滞と単純に対置せず、両方に別々の重力があることを描くと物語が立体的になる。
- 沈黙の愛情言葉にしないまま示され続ける愛情を描くテーマ。台詞で説明せず、行動の積み重ねだけで伝わる愛情を描き切れるかどうかが書き手の技量を分ける。