黄金の羅針盤
Northern Lights
- 作者
- フィリップ・プルマン
- 発表
- 1995–2000年
- 国
- イギリス
- 媒体
- 小説
人の魂が体の外に動物の姿で現れる世界を舞台に、少女ライラが失踪した子どもたちの謎を追う長篇。『ライラの冒険』三部作の第一部として1995年に刊行され、2000年に完結した。
この世界の人間は全員がダイモンと呼ばれる動物の姿の分身を連れており、子どものうちは姿が定まらず、大人になると一種類に固定されるという規則が置かれている。連れの造形が本人の性質の外部表示になっているため、人物を説明せずとも動物の種類で人柄と職能が読者に伝わる。姿が固定される瞬間が成長の区切りとして扱われ、本人から引き離すと激痛が走るという制約が、作中の暴力の描写と直結する。相棒を道具ではなく本人の一部として規定した設計であり、使い魔ものの規則の作り方として繰り返し参照される。
この作品が使っている物語の型
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 相棒(バディ)特定の任務や仕事のために組まされた二人が、互いを認め合っていく関係性。性格や手法の違いがぶつかり合いながらも、次第に欠かせない存在になっていく。
- アイデンティティの探求自分が何者であるかを、出自や役割ではなく自分自身の選択によって定義し直そうとする人物を描くテーマ。答えを外から与えず、迷う過程そのものを中心に据える。
- できないことの設定何ができるかではなく、何ができないかを先に決めておく型。できないことが障害と見せ場を同時に用意し、都合のよい解決を封じる。