クルテク
Krtek
- 作者
- ズデニェク・ミレル
- 発表
- 1957年
- 国
- チェコスロバキア
- 媒体
- 映画
黒い体に丸い鼻と大きな目を持つもぐらを主人公とする短篇アニメーションのシリーズ。ズボンができるまでを追う第一作が1957年に発表され、以後半世紀にわたって作られ続けた。
台詞をほぼ持たず、笑い声や短い感嘆だけで進行する構成を取っており、言語の異なる国でもそのまま上映できる設計になっている。意味の伝達を言葉から表情と動作へ移すため、造形の側では目を大きく取り、鼻を赤く一点だけ強調し、手の指を減らして輪郭を単純化する処理がなされている。黒一色の体は背景から確実に浮き、白目と赤い鼻の三点だけで顔の向きと感情が読み取れる。声を当てたのは作者の娘たちで、言葉によらない音声で感情を示す方針が初期の段階で定められている。
この作品が使っている物語の型
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 見知らぬ親切利害のない赤の他人から差し出された、名も告げない小さな親切が人物の人生に長く残り続ける様を描くテーマ。返しようのない恩をどう受け止めるかが核になる。
- 喋らない登場人物台詞を持たない登場人物を置く型。その意図は必ず誰かの解釈を経て届くため、読み取る側の願いや後ろめたさのほうが描き出される。
- マスコットという形式一体で完結し、記号として覚えられることを前提に置かれた登場人物の形式。造形が単純であるほど、その一点が崩れたときに異変の合図として強く働く。