蟹工船
- 作者
- 小林多喜二
- 発表
- 1929年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
オホーツク海で操業する蟹工船を舞台に、過酷な労働に置かれた労働者たちが団結に目覚めていく過程を描く中編。特定の主人公を置かず集団を主体として描く方法で、プロレタリア文学の代表作となった。
1929年に発表された。個人の英雄を立てず、船内の労働者全体を一つの主体として描く「集団描写」の方法を採り、抑圧が個々の忍耐の問題ではなく構造の問題であることを形式そのものによって示した。船という閉鎖空間が社会の縮図として機能する設定は、後の閉鎖空間ものにも通じる。2008年前後には格差社会への関心から再び広く読まれ、発表から80年を経てベストセラーに返り咲いたことでも知られる。
この作品が使っている物語の型
- 孤独と連帯一人でいることを選んだ、あるいは選ばされた人物が、他者との緩やかなつながりを見つけていくテーマ。連帯を「恋愛」に矮小化しないことが、このテーマ特有の難しさであり魅力でもある。
- 正義の代償正しいことをした結果、当人が何かを失っていくというテーマ。正義を貫くこと自体は否定せず、その正しさが誰かを傷つける構造を丁寧に描くと安易な勧善懲悪から抜け出せる。