あんぱんまん
- 作者
- やなせたかし
- 発表
- 1973年
- 国
- 日本
- 媒体
- その他
顔があんパンでできたあんぱんまんが、飢えた人に自分の顔を食べさせて助ける絵本。1973年に月刊絵本『キンダーおはなしえほん』の一冊として発表され、後のテレビアニメと膨大な派生キャラクターの原型となった。
頭部を食べ物そのものにするという着想が、能力と弱点を同時に決めている点に設計上の特徴がある。分け与えれば人を救えるが、顔が減れば力が落ち、取り替えれば戻るという規則は、幼い読者にも一目で理解でき、毎回の話の山場を自動的に用意する。頭部を食品にするというこの規格は後の展開で拡張され、パン、丼物、菓子といった食品ごとに一体ずつキャラクターを作る体系へ発展した。名前を聞けば姿が、姿を見れば名前が分かる対応関係が、登場人物を破綻なく増やし続ける条件になっている。
この作品が使っている物語の型
- 自己犠牲自分の利益や安全、時には命そのものを差し出して他者や大義を守ろうとする人物を描くテーマ。犠牲を美化しすぎず、遺された側の痛みまで描けるかが要になる。
- 見知らぬ親切利害のない赤の他人から差し出された、名も告げない小さな親切が人物の人生に長く残り続ける様を描くテーマ。返しようのない恩をどう受け止めるかが核になる。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- マスコットという形式一体で完結し、記号として覚えられることを前提に置かれた登場人物の形式。造形が単純であるほど、その一点が崩れたときに異変の合図として強く働く。
- できないことの設定何ができるかではなく、何ができないかを先に決めておく型。できないことが障害と見せ場を同時に用意し、都合のよい解決を封じる。