春琴抄

作者
谷崎潤一郎
発表
1933年
日本
媒体
小説

盲目の三味線師匠・春琴と、彼女に生涯仕えた弟子・佐助の関係を、伝記の体裁で再構成した中編。仕える者の献身が愛と区別できなくなっていく過程を、句読点を抑えた独特の文体で描く。

1933年に発表された。語り手が資料を読み解く体裁を取ることで、二人の内面を直接は語らず、行為の記録だけから関係の深さを推し量らせる方法を採る。師弟・主従という非対称な関係の中でしか成立しない愛情の形を突き詰めており、献身が自己犠牲の極点に達する後半の展開は、日本文学における主従関係の描写の到達点の一つとされる。言葉にされない感情を構造で示す手法は、後代の物語にも影響を残した。

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