代筆を頼まれる
手紙やスピーチ、文章の代筆を頼まれたことから始まるプロット型。他人の言葉を借りて書くという行為が、依頼人の内面に踏み込む契機になる。
手紙やスピーチ、あるいは謝罪文のような文章の代筆を頼まれたことから始まるプロット型である。文章を書くのが得意、あるいは職業として文章に関わっている人物が、自分自身の言葉ではなく依頼人の言葉として何かを書く――その作業は、依頼人の事情や心情を深く理解しなければ成立しない。代筆という行為そのものが、他人の内面に静かに踏み込む契機になる点が、このプロット型の推進力になる。
このプロット型を面白くする鍵は、代筆する側の視点にある。依頼人の言葉を借りて書きながら、代筆者自身の感情もその文章に滲み出てしまう――そうした「誰の言葉なのか分からなくなる」瞬間を描くことで、単なる作業を超えた物語の厚みが生まれる。
型のバリエーション
- 大切な相手への手紙を書けずにいる依頼人の代わりに、その想いを言葉にしていく型。
- 代筆を重ねるうちに、代筆者自身が依頼人の事情に感情移入していく型。
- 代筆した文章が、依頼人の意図とは違う受け取られ方をしてしまう型。
- 代筆者の正体を隠したまま、文章だけが独り歩きしていく型。
- 代筆を頼んだ本当の理由が、物語の終盤で明かされる型。
筋書きの例
- 大事な取引先への謝罪文が書けずに困っていた不器用な店主から代筆を頼まれた人物が、話を聞くうちに店主の不器用な誠実さに触れていく。
- 亡くなる前に大切な人へ手紙を書きたいと願う依頼人の言葉を、代筆者が丁寧に聞き取りながら文章にしていくうち、自分自身も何かを言葉にしたくなっていく。
- プロポーズの言葉が書けない依頼人に代わって手紙を書いた代筆者が、その手紙の言葉が自分自身の過去の後悔と重なっていることに気づく。
組み合わせやすい題材
モチーフの「手紙」、プロット型の「拾った手帳・落とし物」と特に相性がよい。関係性の「顧客と職人」と重ねると、言葉を扱う職人としての代筆者像を掘り下げられる。