呪術廻戦のネタバレ解説

結末まで書いてあります。内容は2026年9月時点のものです。

作者
芥見下々
掲載誌
週刊少年ジャンプ(集英社)
連載期間
2018年14号(3月5日発売)〜2024年44号(9月30日発売)。約6年半
巻数・話数
全30巻・全271話。ほかに前日譚の0巻(東京都立呪術高等専門学校、全4話)がある
完結
2024年9月30日(雑誌最終回)/2024年12月25日(単行本29巻・30巻同時発売)
累計部数
2024年9月時点でシリーズ累計1億部突破(電子・関連書籍を含む)
状態
完結

あらすじ

2018年6月、宮城県仙台市。常人離れした身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、祖父を看取った夜、オカルト研究会の先輩を助けるため、封印されていた特級呪物・両面宿儺の指を飲み込む。人間の負の感情から生まれる化け物である呪霊と、それを祓う呪術師。虎杖はこうして世界の裏側へ足を踏み入れる。千年前の術師たちが滅ぼしきれなかった呪いの王・両面宿儺を体内に宿した虎杖には、当然のように死刑が言い渡される。だが最強の呪術師・五条悟の提案で、散らばった宿儺の指20本をすべて取り込んでから死ぬという猶予が与えられ、虎杖は東京都立呪術高等専門学校に入学する。同級生の伏黒恵、釘崎野薔薇とともに任務をこなす日々は、はじめのうち学園ものの体裁を保っている。しかし特級呪霊たちと、かつての特級呪詛師・夏油傑の姿をした何者かが、五条悟の排除と人類の作り替えを企てて動き出したとき、話の性質は一変する。呪術は誰のためにあるのか、呪霊を祓うことは人を救うことなのか。人が正しく死ぬのを手伝いたい、という虎杖の動機が、報われるかどうかも含めて全編を貫く軸になる。

起承転結

  1. 器としての死刑猶予

    1〜8巻(呪胎戴天・幼魚と逆罰・京都姉妹校交流会・起首雷同)

    祖父の死をきっかけに呪術の世界へ入った虎杖は、宿儺の器として死刑を宣告され、指をすべて取り込んでから死ぬという条件つきで呪術高専に入学する。呪胎戴天では少年院に現れた特級呪霊との戦いで一度死亡し、宿儺との縛りによって蘇生する。続く幼魚と逆罰では、虎杖と心を通わせた高校生・吉野順平が特級呪霊・真人に殺される。京都姉妹校交流会では東堂葵との出会いと特級呪霊・花御の襲撃があり、起首雷同では呪胎九相図の壊相・血塗と戦う。この段階の物語は、任務ごとに敵が現れる学園バトルの形をとっており、虎杖の死刑はまだ先送りにできる約束事として扱われている。ただし人が呪いによって理不尽に死ぬ場面は最初から繰り返し置かれ、勝っても誰かが助からないという後味が積み重ねられていく。

  2. 最強が封じられる日

    8〜16巻(懐玉・玉折・宵祭り・渋谷事変)

    2006年と2007年を描く懐玉・玉折で、五条悟と夏油傑が親友だった時代と、夏油が非術師の抹殺を掲げて呪詛師に堕ちるまでが語られる。読者はここで、現在の敵の輪郭が過去の失敗から作られたことを知る。続く渋谷事変では、ハロウィンの渋谷駅一帯に帳が下ろされ、一般人を人質にした形で五条が獄門疆に封印される。最強が盤面から消えた瞬間に、それまで保たれていた均衡が崩れる。七海建人が真人に殺され、釘崎野薔薇が重傷を負って生死不明となり、渋谷は多数の死者を出す。夏油の肉体を乗っ取っていた者の正体が、千年単位で肉体を渡り歩く呪詛師・羂索であることも判明する。学園バトルとして始まった話は、ここで負け戦の記録へ変わる。渋谷事変の後始末として学長・夜蛾正道が濡れ衣を着せられて処刑され、虎杖の死刑猶予も取り消される。

  3. 器を奪われる

    16〜25巻(死滅回游)

    羂索は全国に10個の結界を設け、泳者と呼ばれる参加者が得点を奪い合う死滅回游を始動させる。得点を集めれば総則に新しいルールを追加できるという枠組みが持ち込まれ、物語は戦闘と交渉が同居するゲームの形へ組み替わる。虎杖、伏黒、乙骨、真希、秤らが各結界に分かれ、来栖華、日車寛見、髙羽史彦、鹿紫雲一といった泳者を味方につけていく。そして決定的な事態が起きる。宿儺は縛りによって1分間だけ肉体の主導権を虎杖に返し、その隙に呪物化させた虎杖の指を伏黒恵に飲み込ませた。受肉先は虎杖から伏黒へ移り、伏黒の肉体を得た宿儺が暴れ出す。ここで主人公は器という役目を失う。同時に、倒すべき敵が親友の体を着ているという条件を背負う。器であることが虎杖の呪いだった話は、器でなくなることがもっと重い、という話に反転する。

  4. 新宿の総力戦

    25〜30巻(人外魔境新宿決戦・最終話)

    2018年12月24日、獄門疆から解放された五条悟と、伏黒の肉体を得た宿儺が新宿で激突する。宿儺は伏黒の十種影法術で呼び出した式神・魔虚羅の適応能力を自分の術式に掛け合わせ、五条を斬り伏せる。最強は死に、残された者だけで宿儺を倒す戦いが始まる。鹿紫雲一が命を代償にする術式で挑んで敗れ、岩手では髙羽史彦の術式に付き合わされて消耗した羂索が、乙骨憂太に首を落とされる。新宿では虎杖、乙骨、真希、日車、東堂、秤、脹相らが入れ替わり立ち替わり宿儺へ当たり、脹相は虎杖を庇って死ぬ。渋谷から意識が戻らなかった釘崎野薔薇も戦線へ復帰する。誰か一人が最強として勝つのではなく、全員が少しずつ削るという形で決着へ向かう。そして最後の数話は、戦いのあとの日常に充てられる。

結末

結末を開く(最後まで書いてあります)

五条悟は第236話(26巻)で戦死する。宿儺は伏黒恵の十種影法術が呼ぶ式神・魔虚羅の適応能力を自分の術式と組み合わせ、空間ごと断つ斬撃で五条を腰の上から真っ二つにした。運ばれた五条は笑顔で生涯を終える。以後、宿儺を倒す役目は残された術師たちに移る。鹿紫雲一は命を代償にする術式で挑んで死亡(第238話)。羂索は岩手で髙羽史彦の術式に付き合わされて消耗したところを乙骨憂太に首を落とされて死ぬが、その直前に天元との同化の権利を宿儺へ移している(第243話)。新宿では、虎杖悠仁、乙骨憂太、禪院真希、日車寛見、東堂葵、秤金次、脹相らが順に宿儺へ当たる。脹相は炎の爆発から虎杖を庇い、弟になってくれてありがとうという趣旨の言葉を残して死ぬ(第259話)。渋谷事変以来意識が戻らなかった釘崎野薔薇が復帰して打撃を与え、第268話で宿儺はついに伏黒の肉体から引き剥がされ、消滅する。伏黒恵は生還する。虎杖は最後に宿儺へ別の道を示すが、宿儺はそれを受け取らないまま消える。最終話は第271話「これから」で、2024年9月30日発売の週刊少年ジャンプ44号に掲載された。死んだ宿儺の魂は真人と行き会い、忌み子として蔑まれたことへの報復に人生を使ったと認めたうえで、次があるなら別の生き方を選んでもいいかもしれない、と漏らす。生きている側は新宿の後始末を終え、反省を抱えたまま呪術界の日常へ戻っていく。翌日、虎杖・伏黒・釘崎の3人は呪いの被害者を助ける任務に向かい、物語はそこで終わる。単行本30巻には、雑誌掲載分に加えて16ページの描き下ろしエピローグが収録された。小沢優子、パンダ、釘崎野薔薇、裏梅のその後が描かれ、パンダは機能停止して五条家が管理していること、乙骨憂太が五条亡きあとの五条家を当主代理として継ぎ、2080年時点で孫が2人いることなどが示される。呪術そのものが消える結末ではない。呪霊を生む人間の負の感情は残り、術師は明日も任務に出る。世界の仕組みは変わらないまま、虎杖が生き延びて次の現場へ歩いていくところで幕が下りる。

解説

呪いは人間から出てくる

作中の設定として、呪霊は人間の負の感情が漏れ出して集まったものであり、呪術師はそれを祓う。術師は特級から4級まで格付けされ、生得的な術式を持ち、術式を極限まで高めた領域展開、条件と引き換えに力を得る縛り、負のエネルギーを反転させて治す反転術式といった規則の上で戦う。重要なのは、敵の供給源が人間社会そのものだという点にある。呪霊を何体祓っても、人が誰かを厭う限り次が生まれる。だからこの作品では、戦いに勝つことが世界の改善に直結しない。最終話でも呪術は消えず、呪霊も消えない。少年漫画の枠の中で、根を絶てない敵を設定したことが、全編に共通する苦さの出どころになっている。呪いを祓う仕事は、社会の側を治す仕事ではないという線が、最後まで動かされない。

器という時限装置が、主人公から親友へ移る

虎杖は第1話で宿儺の指を飲み込み、指をすべて取り込んだら処刑されるという条件で生かされる。つまり主人公の生存そのものが期限つきの装置として設計されている。さらに作中では、羂索が虎杖の母親の肉体を乗っ取り、宿儺の器となる子として虎杖を産ませていたことが明かされる。虎杖は偶然の被害者ではなく、最初から器として作られた存在だった。ところが死滅回游の終盤、宿儺は縛りを使って受肉先を伏黒恵へ移す。虎杖は器という役目を奪われ、代わりに親友の体を壊さずに宿儺を倒すという、はるかに厳しい条件を負う。呪いを背負わされることより、呪いを他人に背負わせてしまうことのほうが重いという反転が、ここで起きている。死刑を宣告された少年の話は、こうして親友を取り返す話へ書き換えられる。

最強を退場させる構造

五条悟は連載初期から圧倒的に強い存在として描かれ、その強さが読者の安心材料になっていた。作品はそれを二度奪う。一度目は渋谷事変での獄門疆による封印で、この瞬間に均衡が崩れ、七海建人らが死ぬ。二度目は第236話の戦死で、最強がいれば解決するという読み方が完全に断たれる。以後の新宿決戦は、虎杖、乙骨、真希、日車、東堂、秤、釘崎、脹相らが役割を分担し、一人ずつ持ち場を担う群像戦の形になる。単独の英雄ではなく総力戦で決着させるための布石として五条の退場が置かれていた、と読まれている。五条の死が読者に与えた衝撃の大きさは、当時の報道やSNSの反響としても記録されている。最強の不在を埋めるために誰が何を差し出すか、という配分の話に、後半の戦いは変わっている。

結末の受け取られ方

事実として、最終盤の3話ほどは戦闘ではなく戦いのあとの日常に充てられ、呪術も呪霊もなくならないまま物語は閉じる。宿儺の内面が語られるのは死後の場面であり、そこに宿儺の人生を変えられたかもしれない人物らしき後ろ姿が描かれるが、正体は明示されない。この幕引きはSNS上で大きな反響を呼び、報道でも取り上げられた。読者・評者の側からは、伏線とみなされていた要素が回収されていない、エピローグが短いといった批判と、根を絶てない世界を描いてきた作品として一貫している、という擁護の双方が語られている。賛否の中身はいずれも読者の解釈であり、作中で説明が与えられているわけではない。何を伏線と見なすかによって評価が分かれる作品であり、その分かれ方自体がこの結末の特徴になっている。

アニメと原作の現在地は違う

映像化は原作にまだ追いついていない。テレビアニメは2020年に第1期、2023年に第2期(懐玉・玉折と渋谷事変)が放送され、第3期の死滅回游 前編は公式サイトの告知どおり2026年1月8日に放送開始した。つまり2026年9月の時点で、五条の死も宿儺との決着もアニメでは描かれていない。また前日譚の0巻を映像化した劇場版 呪術廻戦 0(2021年12月公開)は国内興行収入130億円を超え、この作品の広がりを決定づけた。アニメから入った読者と原作読者では見えている範囲が違うため、この解説は原作コミックスを基準にしている。アニメ側の演出上の改変については扱っていない。原作とアニメで筋が食い違う箇所は確認していないため、本文では扱っていない。

確認できなかったこと

調べたが裏が取れなかった点です。書けることだけを書き、ここは空欄のままにしています。

出典

作者・年・媒体といった事実はデータベースの呪術廻戦に。

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