キノの旅
- 作者
- 時雨沢恵一
- 発表
- 2000年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
旅人キノが言葉を話すモトラド(二輪車)エルメスとともに、一つの国に三日だけ滞在する旅を続ける連作短編。奇妙な制度を持つ国々を通じて人間の性質を寓話的に照らす、静かな読み味のライトノベル。
第1巻は2000年に刊行された。訪れた国の制度や習慣を裁かず、三日経てば必ず去るという旅人の掟が、物語に独特の倫理的中立性を与えている。多数決だけの国、痛みを分かち合う国といった一国一寓話の連作形式は、思考実験を物語として読ませる装置として完成度が高い。世界は美しくなどない、それゆえに美しいという逆説を掲げ、ライトノベルに寓話と皮肉という読み味を持ち込んだ代表作である。
この作品が使っている物語の型
- 通りすがりの他人一度きりのすれ違いで終わるはずだった、名前も知らない他人との関係。二度と会わないという前提が、かえって記憶に強く残る出会いを生む。
- 一度だけ会った人名前や事情は知っているものの、生涯でただ一度しか顔を合わせなかった相手との関係。再会が叶わないまま記憶の中で育ち続ける存在を扱う。